相続・遺言の解決事例
一つ前の世代の相続手続きがまだ終了しておらず
遡って相続手続きをしたケース
(ア)状況
①登記名義を死亡した祖父名義のまま放置していた物件について、孫からの相談案件。現在、物件は空家で、10数年間誰も住んでおらず、だいぶ荒れ果てて幽霊屋敷状態となっており、近隣から市役所へ苦情が入っていました。直接の相続人である相談者の父親も10数年前に他界しており、相続人である母(相談者の母親)が固定資産税等を支払ったり、市役所との窓口になっていたが、1年前にその母も死亡し、相続人である孫へ固定資産税の支払いや不動産の管理方法についての連絡がありました。
登記手続きをしない間に、さらに関係者が死亡するなど数次相続が発生し、相続関係が複雑になっており、専門家に依頼しなければ手がつけられない状態になっていました。
②相談者である孫を含む関係者は全員他府県や物件とは別の市町村に居住しており、このまま固定資産税のみ支払うことになるのは困るので、出来れば物件を処分したいとのことでした。また物件が幽霊屋敷状態であり、近隣からも苦情が入っており、これ以上はそのまま放置できないという事情もありました。
(イ)司法書士の提案&お手伝い
①まずは、複雑になってしまった相続関係を調べるべく、親子3代分の戸籍類を収集した。関係者が数人さらに死亡していることが判明し、さらに相続の調査が難航したが、関係者に現在に事情(不動産の現在価値よりも、不動産の処分に費用がかかる可能性があることや税金の滞納分の支払いをしなければならない可能性等)を説明したら、煩わしい手続にかかわりたくないとのことで相談者である孫ら以外の関係者全員が相続放棄の手続に協力してくれることになりました。
②関係者の相続放棄の手続も当事務所で全てサポートし、無事に孫の名義に相続登記をすることができ、売却手続きへと進むことができました。
(ウ)結果
①本件は物件自体が特殊なものであり、いわゆる昔からの集落であり、前面道路も軽自動車が入れるかどうか微妙な物件のため売却が難しく、しかも解体に相当なコストが見込まれたが、何とかマイナスにならないような金額で買い取ってくれる買主を知人の不動産業者とともに探し、無事に売却し、費用等を捻出してもプラスになりました。
②関係者全員が遠方にいることもあり、不動産の売却や税金の支払い、引渡し等も当事務所が任意代理の財産管理人として手続きを行いました。
仲の悪い兄弟同士とのトラブルを避けるために
土地を売却して現金を分割したケース
(ア)状況
10数年前に親の葬儀の際に喪主を誰が務めるか否かで揉め、お互いに一切口を聞かなくなった。遺産分割の話も進まず、家も放置されている状態でした。
(イ)司法書士の提案&お手伝い
固都税の支払いや管理の必要性を説明し、司法書士がコーディネーターとなり、法定相続分で遺産分割協議を成立させ、売却し、分配しました。
(ウ)結果
家を保有している場合、管理責任(防火、隣地との植物、固定資産税の支払)が発生します。
また、固定資産税は、共有所有の場合全員が負担義務がありますので、家に住む意思がない場合は売却をする方がよい場合もあるのです。
遺言の内容に問題があったケース
(ア)状況
お世話になった知人にあげるつもりであったと推測されるが、「ゆだねる」と書かれた遺言でがありました。
正式な遺言のきまりでは、「ゆだねる」という表現は曖昧さがあるため、認められません。
しかし、遺言の作成者の意を汲み取れないかという相談がありました。
(イ)司法書士の提案&お手伝い
遺言の検認申立のため相続人全員を調査しましたが、全員がかかわりたくないとのことでした。最終的に、金融機関と協議し、「ゆだねる」とされた知人が遺贈を受け取ることができました。
(ウ)結果
そもそも遺言がない状態では、相続人は相続放棄をしようとしておりましたので、財産が国庫行きになってしまう可能性も十分にありました。
正式には、「ゆだねる」という表現は遺言として適切とはいえませんが、司法書士が金融機関との交渉を行うことによって、知人に遺贈することができました。